長らく格闘技を撮影している。思うにスポーツと写真は相性が良い。中でも格闘技は特別 だ。ある種、異形ともいえる尋常ならざる者たちが繰り広げる戦いのドラマ。殴る、蹴る、 関節を極める。過酷なだけに自然と熱が帯びる。本物だけが纏う雰囲気。勝者と敗者。天 国と地獄。光と影。明暗がはっきりとする。とても写真的だ。
今回撮影したのは、相手の関節を取る、一本を極めることを至上命令とするプロ興行 「QUINTET」、アジア各国で大会を開催する今もっとも熱い格闘技興行のひとつ 「ONE」、柔道の原型ともいえる寝技に特化した「ブラジリアン柔術」。
使用したカメラはX-H1とX-T3。ファインダーは明るく見やすく、AF性能も充分で動きが 早い格闘技にも難なく対応できた。レンズはXF16-55mmF2.8、XF50-140mmF2.8、 XF90mmF2、XF200mmF2の4本。富士フイルムのレンズ描写に今更コメントをさし挟む必要はないだ ろう。納得のクオリティー。もちろん今回もjpeg撮って出し。何もいじっていない。格闘 技こそ、その場その場の混じりっけないピュアな瞬間を切り取りたい。それができるのも 富士フイルムの製品に対する信頼があるからである。
タイトルは’本能’を意味する「instinct」とした。そつなく無難に生きることが美德とされ つつある現代において、己の身ひとつを武器に、儚くも雄々しく生きる格闘家たち、彼ら の活き活きとした姿をぜひ見てもらいたい。
記
井賀孝写真展「instinct」
井賀孝
2018年12月11日(火)~12月28日(金)
平日 11:00~20:00、土日祝日 10:00~19:00(最終日は16:00まで)